マジックアワー
  授業の後、学食で昼メシを食べる。勇人とは同じような授業を落としてるから、ほとんど履修の組み方が同じで、四年になってからは専らこいつと行動を共にしている。
  「あんな可愛い子うちにいたか?」
  勇人の視線の先を追う。学食内をウロウロしている女の子がいた。誰かを探している様子だった。どっかで見たことあるなぁと頭を巡らす。どこだっけな。ズズズ、とラーメンを啜ると、頭の上で「いた!」って声がした。
  「え?」
 勇人と2人で顔をあげる。
  「瞬くん!見つけた!」
  「……見つかった」
  勇人を見ると、なんだなんだ、って顔をしてる。なんとなく思い出してきた。たしかこの前の飲み会にいた子だ。
  「美優!覚えてる?」
  「あ!美優ちゃん」
  忘れてた。
  「なんか……髪切った?」
  「切った!」
  「だからか、なんか印象違うなって思って」
  「え〜覚えてくれてて嬉しい。今日も飲み会あるんだけど瞬くんも来ない?」
  「お〜行く」
  「やった〜!じゃあ1人追加しとくね!」
  そう言うと、美優は去って行った。
  「って俺は?」
  勇人が言うのにはお構いなく、瞬はずるずると麺を啜った。
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