星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
せっかく元気になった彼をまた落ち込ませてしまった。彼を励ますことを言わなくては、と詩季は焦る。
「私も落ち込むことがあってね」
絃斗は顔を彼女に向けた。
「元カレが結婚するんだって。未練はないし、悔しいとも違うんだけど、私とは無理でもその人との時間は作れたんだって、そんなこと思っちゃって」
「それでやけ酒ですか?」
「仕事のこともあったの。アパレルの店長なんだけど」
二十代前半に向けた店で、詩季はほかの店員より年齢が高い。
このところ、感性のずれを感じていた。焦って勉強をしても、どんどんおしゃれがわからなくなる。
最近は声をかけても逃げるように立ち去るお客様のほうが多く、売上は横這いだった。
その矢先に、年齢層が上のショップへの異動の打診が来た。
「後輩が育って私よりも売り上げがあるし、もう用済みなんだとか、取り残された気がして」
まるで泥沼に足をとられたかのように、まったく前に進めていない。なのにみんなは順調に進んでいく焦燥感。
「仕事も恋もうまくいかないまま、なにをやってるんだろうって虚しくなったの」
「評価されたから異動なのでは? 挑戦してみる価値ありますよ!」
「簡単に切り替えられないから……」
「すみません」
絃斗が言葉を切ると沈黙が降り、空気が質量を持ってのしかかってくる気がした。
詩季は服の裾をぎゅっと掴んだ。
結局自分はなにを告白したんだ。彼を励ましたかったのに。
苦しんでいるのは彼だけではない、と伝えたかった。そうすれば少しは楽になれるかと思ったのに、なんだかずれている気がしてならない。
「私も落ち込むことがあってね」
絃斗は顔を彼女に向けた。
「元カレが結婚するんだって。未練はないし、悔しいとも違うんだけど、私とは無理でもその人との時間は作れたんだって、そんなこと思っちゃって」
「それでやけ酒ですか?」
「仕事のこともあったの。アパレルの店長なんだけど」
二十代前半に向けた店で、詩季はほかの店員より年齢が高い。
このところ、感性のずれを感じていた。焦って勉強をしても、どんどんおしゃれがわからなくなる。
最近は声をかけても逃げるように立ち去るお客様のほうが多く、売上は横這いだった。
その矢先に、年齢層が上のショップへの異動の打診が来た。
「後輩が育って私よりも売り上げがあるし、もう用済みなんだとか、取り残された気がして」
まるで泥沼に足をとられたかのように、まったく前に進めていない。なのにみんなは順調に進んでいく焦燥感。
「仕事も恋もうまくいかないまま、なにをやってるんだろうって虚しくなったの」
「評価されたから異動なのでは? 挑戦してみる価値ありますよ!」
「簡単に切り替えられないから……」
「すみません」
絃斗が言葉を切ると沈黙が降り、空気が質量を持ってのしかかってくる気がした。
詩季は服の裾をぎゅっと掴んだ。
結局自分はなにを告白したんだ。彼を励ましたかったのに。
苦しんでいるのは彼だけではない、と伝えたかった。そうすれば少しは楽になれるかと思ったのに、なんだかずれている気がしてならない。