星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
「笑わなくても」
 またすねたように言い、絃斗は手を動かす。その間に、詩季はフライパンを温め、鍋にスープ用のお湯をわかした。
 材料が混ざって粘り気が出たあたりで詩季は彼を止めた。

「次は成型ね。半分にして丸めて」
 絃斗はボールのように真ん丸にした。
「そう来たか」
 くすくす笑うと、絃斗は口を尖らせる。

「ここから次の指示があると思ったんだから!」
「じゃあ、それを平らにして、真ん中を少しへこませてね」
 詩季の指示で平たい楕円を作った絃斗は、真ん中に指を突っ込んで穴をあけた。
 思わず詩季は吹き出す。

「今度はなに?」
「ドーナツみたいに穴あけるから」
 スマホで検索して、見本の画像を見せた。
「最初から画像を見せてくれたら良かったのに」
 ぶつくさ言いながら、絃斗は真剣にハンバーグを成型しなおす。

「空気抜きもしたほうが良いんだけど、ナシで。そのぶん崩れやすくなるから気を付けてね」
「わかった」
 温めたフライパンに成型したハンバーグ種を載せてもらう。

 じゅわー、と焼ける音に絃斗は顔をほころばせた。
 表面が焼けた頃を見計らい、絃斗にフライ返しを渡す。
 彼は慎重にふたつのハンバーグをひっくり返した。
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