星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
「できた!」
「偉い偉い」
「また子ども扱いして!」
「してないよ」
 詩季が笑うと、絃斗は結局、一緒に笑った。

 水を入れて蓋をして火を少し弱め、スープ用に湯を沸かした鍋にキノコとキャベツとコンソメを入れた。
付け合わせに冷凍のポテトとブロッコリーをレンジで解凍し、カットサラダを皿に盛る。

 しばらくしてから、詩季はフライパンの蓋を開けた。
「竹串とか菜箸を刺してみて確認するの。赤い肉汁が出なかったら出来上がり」
 絃斗が緊張した面持ちで蓋を開けて菜箸を刺すと、透明な肉汁があふれて来た。

「これでいいってこと?」
「そう、あとは皿に盛ってね」
 付け合わせを先に載せた皿に、彼はフライ返しでゆっくりとハンバーグを載せる。

「この肉汁も使ってソースを作ったりするんだけど、今日は簡単に」
 器にケチャップとソースを混ぜ合わせてハンバーグにかける。
「そんな方法があるんですね」

 顔を輝かせる彼に笑って、ごはんをよそってテーブルに置く。サラダにハンバーグに付け合わせの野菜。キャベツときのこのスープ。男性には少なかったかな、と思うが絃斗は気にしていない様子だった。
 向かい合ってテーブルにつき、いただきますをしたあと、絃斗はさっそくハンバーグを口に入れた。

「おいしい!」
 満面の笑顔の彼に、詩季の顔もほろこぶ。
 詩季も食べてみる。いつもと同じハンバーグなのに、なぜかいつもよりおいしく感じられた。

 それと同時に、食べ終わるのが惜しかった。
 食事が終われば彼は帰って行くだろう。彼を待つ人のところへと。
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