星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
「それはちょっと……」
「じゃあなんでハープなんて持ってんの」
「……休業中なんです」
「なんでよ。観客がいないから?」
 星は年中無休で輝くものだ。休業なんてありえない。雲の向こうで今も輝き続けているはずなのに。昼間だって見えないだけで輝いているはずなのに。

 彼は竪琴をしまい、立ち上がる。
「僕は失礼します」

 彼女はその手をつかんだ。
 彼が戸惑うように彼女を見るが、手の力をゆるめない。

「許さない」
 彼女は言う。
「置いて行くなんて許さない」
 重ねられた言葉に、彼はさらに戸惑いを深くした。
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