星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
4 星が帰る朝
 気がついたら朝だった。
 あまり眠った気がしなかったが、ゆるやかなまどろみはあった。
 アラームを消して起きる。ドアを開けると、もう絃斗は起きていた。

「眠れた?」
「はい」
 詩季の問いに、やわらかく微笑みが返ってきた。
「ごはん、一緒につくらせてください」
「作るってほどのことはしないけど……じゃあ、ゆでたまごを」
 鍋に水を入れて彼に渡す。彼はおそるおそるたまごを入れて、火にかけた。

 コーヒーは彼に淹れてもらった。
 詩季はパンをトーストし、ホウレンソウをレンジアップしてウィンナーと一緒に炒めた。
 焼けたパンにたっぷりとマーガリンをぬって、ふたりで頬張る。
 さくっと音が響いて、まろやかな塩味が口に広がった。

「今日もおいしいです。このメニューなら僕でも作れそうです」
 嬉しそうな笑顔が、ことさら輝いて見える。
 食べ終えて皿を洗った詩季はちらっと時計を見た。まだ八時前だ。

「なんだかすごく時計を気にしていますね」
「そう?」
「食事中もちょいちょい見てましたよ」
 絃斗に言われて、詩季はうつむく。

「……今日、出勤だから」
 ごまかすように言う。
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