月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 やがてレオナールの表情から緊張が抜け、呼吸が穏やかになる。
 エミリアはその変化を感じ取り、安堵の笑みを浮かべた。光を放っていた手を下ろし、彼の手を包み込む。

 「少し眠れば、もっと楽になります」

 その声は子守唄のようにやさしく響く。
 シルバがベッドの端に身を寄せ、丸くなって眠りの気配を漂わせた。

 (どうか、この祝宴でなにも起こりませんように……)

 静けさの中、エミリアは彼の寝顔を見つめながら祈った。
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