月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
レオナールが目を覚ましたのは、外がすっかり暮れた頃だった。窓辺から風が流れ込み、燭台の火がゆらゆらと光を散らしている。
そのやわらかな光の中で、老いた姿の彼は静かに変化をはじめた。
その様子を初めて見たエミリアは、言葉もなくただ見つめるばかり。白髪が銀の光を帯び、刻まれていた皺が滑らかに消えていく。
息をひとつ吐いた瞬間、そこに立つのはあの若く、美しいレオナールだ。
シルバがくうんと鼻を鳴らす。
「……もう大丈夫ですか?」
傍らにいたエミリアは、息を呑むように問いかける。
レオナールはゆっくりと瞼を上げ、穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ。……行く準備をしよう」
その声に、エミリアも身を整えはじめた。
淡い藤色の絹を纏い、仕立て屋が丹精を込めたドレスを纏う。光を受けるたび、銀糸の刺繍がほのかに輝き、春の夜に咲く花のようだった。
カーリンの手で髪は丁寧に結い上げられ、白い花飾りが一輪、そっと添えられる。
「エミリア様、本当に……お綺麗です。春そのものみたい。殿下も凛々しくて素敵」
カーリンがうっとりと呟く。
レオナールの黒を基調とした上衣は夜の闇そのもののように深く、光を吸い込むような艶を持っている。肩口と袖口には銀糸で緻密な刺繍が施され、古の守護紋が静かに輝いていた。
そのやわらかな光の中で、老いた姿の彼は静かに変化をはじめた。
その様子を初めて見たエミリアは、言葉もなくただ見つめるばかり。白髪が銀の光を帯び、刻まれていた皺が滑らかに消えていく。
息をひとつ吐いた瞬間、そこに立つのはあの若く、美しいレオナールだ。
シルバがくうんと鼻を鳴らす。
「……もう大丈夫ですか?」
傍らにいたエミリアは、息を呑むように問いかける。
レオナールはゆっくりと瞼を上げ、穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ。……行く準備をしよう」
その声に、エミリアも身を整えはじめた。
淡い藤色の絹を纏い、仕立て屋が丹精を込めたドレスを纏う。光を受けるたび、銀糸の刺繍がほのかに輝き、春の夜に咲く花のようだった。
カーリンの手で髪は丁寧に結い上げられ、白い花飾りが一輪、そっと添えられる。
「エミリア様、本当に……お綺麗です。春そのものみたい。殿下も凛々しくて素敵」
カーリンがうっとりと呟く。
レオナールの黒を基調とした上衣は夜の闇そのもののように深く、光を吸い込むような艶を持っている。肩口と袖口には銀糸で緻密な刺繍が施され、古の守護紋が静かに輝いていた。