月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 「宮殿の結界が……っ!」

 レオナールはすでに動いていた。闇を裂くように駆け、舞踏のように軽やかに剣を抜く。

 「全員どけ!」

 その声が響いた瞬間、魔力の奔流が爆ぜた。
 青白い閃光が空気を焼き、魔獣の一体が吹き飛ぶ。光の尾を引く剣が、次の獣の喉を断ち、同時に詠唱が唇から零れた。

 「アーク・バースト!」

 炸裂する光。音と熱が渦を巻き、魔獣の群れが黒煙に飲まれて消える。
 だが、その中で一体の魔獣が逃げ、壁を砕いて大広間へと突進した。
 悲鳴が連鎖する。

 「エミリア様っ!」

 カーリンが叫んだ。
 魔獣の巨体が、エミリアへと飛びかかった――その瞬間。
 レオナールの胸元が光り、小さな銀の影が跳ねるように飛び出し、空中で眩い光を放つ。
 白銀の獣――元の姿に戻ったシルバが、稲妻のような速さで魔獣に飛びかかっていく。鋭い牙が闇を裂き、首元に喰らいついた。
 獣の咆哮が宮殿を震わせる。
 その隙を逃さず、レオナールが詠唱を重ねる。

 「終焉の光よ、我が剣と共に!」
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