月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 思わず微笑みが零れる。時の流れの速さが、少しだけ胸に染みた。

 「お通ししてよろしいでしょうか?」
 「ああ、応接室で待ってもらうように」
 「承知しました」

 セルジュが去り、レオナールは老いた体を整えはじめた。

 「では、私は部屋に戻ります」
 「エミリアも挨拶をしてはどうか」
 「よろしいのですか?」

 ドアに向かいかけた彼女が振り返り首を傾げる。

 「もちろんだ」
 「では、私も支度をしてまいります」

 レオナールは微笑み返した。
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