月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
その言葉の余韻だけが、しばらくのあいだ部屋に残った。
「ところで、こうしてここへ来たのは昔話をしにきたわけではないのだろう?」
レオナールの問いに、エリオットの瞳に影が差した。
エリオットは一度目を伏せ、深く息を吐いた。
「さすがレオナール。王都では、なにかが少しずつ狂いはじめている気がするんだ」
その言葉は慎重に選ばれていた。
「城の周囲では瘴気の気配が再び強まっている。結界は修復されたはずなのに、まるで内側から蝕まれているようだと神殿の人間たちが囁いている。人々の心までもが、どこか落ち着かない。民の間では『祈っても神はもう応えない』『夜ごと、王宮の塔に〝影〟が立つ』などといった妙な噂が絶えない」
レオナールは黙ってその言葉を聞いていた。
「王妃殿下は?」
「……変わりはないように見えるが、近侍たちの間では妃殿下が夜ごと庭に姿を現すと噂しているのを何度か耳に。なにをしているのか誰も知らず、その姿はいきなりふっと消えてしまうらしく……」
エリオットは声を低く沈めて続けた。
「ただの噂なのかはわからないが」
レオナールは視線を窓の外に向けた。
「ところで、こうしてここへ来たのは昔話をしにきたわけではないのだろう?」
レオナールの問いに、エリオットの瞳に影が差した。
エリオットは一度目を伏せ、深く息を吐いた。
「さすがレオナール。王都では、なにかが少しずつ狂いはじめている気がするんだ」
その言葉は慎重に選ばれていた。
「城の周囲では瘴気の気配が再び強まっている。結界は修復されたはずなのに、まるで内側から蝕まれているようだと神殿の人間たちが囁いている。人々の心までもが、どこか落ち着かない。民の間では『祈っても神はもう応えない』『夜ごと、王宮の塔に〝影〟が立つ』などといった妙な噂が絶えない」
レオナールは黙ってその言葉を聞いていた。
「王妃殿下は?」
「……変わりはないように見えるが、近侍たちの間では妃殿下が夜ごと庭に姿を現すと噂しているのを何度か耳に。なにをしているのか誰も知らず、その姿はいきなりふっと消えてしまうらしく……」
エリオットは声を低く沈めて続けた。
「ただの噂なのかはわからないが」
レオナールは視線を窓の外に向けた。