月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 レオナールが剣を構える。その動きは静かで、どこまでも優雅だ。
 次の瞬間、彼の周囲に風が巻き上がる。蒼い光の粒子が夜気の中に舞い、星のように瞬いた。

 「滅せよ、夜の獣」

 その声は呪文というよりも、命令だった。
 空気が弾け、雷光が奔る。青白い稲妻が剣とともに一直線に魔獣の胸を貫いた。
 咆哮。瘴気が焼き切られ、肉が裂ける匂いが立ち込める。
 レオナールの瞳が金色に輝き、髪が風に舞った。

 「エリオット、右だ!」
 「了解!」

 エリオットが立ち上がり、雷光を背に跳びかかる。魔獣が怒り狂い、巨腕を振り下ろす。 その腕を、エリオットの剣が斬り落とした。
 同時に、レオナールが大地に剣を突き立てる。青い光が奔り、地の奥から金属のような音が響き渡った。

 「封ぜよ、地の鎖!」

 地面から無数の光鎖が伸び、魔獣の体を縛りつけた。
 瘴気が軋み、鎖が焼けるが、レオナールの魔力がそれを上回る。
 その一瞬の隙に――

 「これで終わりだ!」

 エリオットの剣が閃光のように振り下ろされ、魔獣の首を両断した。
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