月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 「妃殿下、この魔術は、一歩間違えば王妃ご自身が先に喰われます」

 魔術師が低い声で告げる。
 微笑を浮かべ、バネッサは答えた。

 「わかっているわ。だけど、この私がそんなミスを犯すと思う? 首尾よくやるから見ていなさい」

 あの女の持っている力を根こそぎ奪い、今こそ自分が輝くとき。王族や貴族、民がみな自分にひれ伏す未来を思い描き、胸の高鳴りが抑えられない。
 バネッサの高らかな声は部屋に響き渡った。
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