月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 レオナールが苦笑すると、セルジュは慌てて袖で顔を拭く。
 いっぽうのカーリンは感情に追いつけないといった様子で、レオナールとエミリアとを何度も見比べてから

 「す、すごい! 太陽の光を浴びても、殿下がこんなにお元気な姿で!」

 言いながら半ば泣き、半ば笑ってしまっている。

 「もう呪いは終わったのよ、カーリン」

 手を握ると、彼女は堪えきれず再び涙をこぼした。

 「本当によかった」

 その言葉に、思わず胸が熱くなる。

 「ふたりには心配をかけたな。すまぬ」
 「そんな! 殿下が謝る必要なんてひとつもありませんから!」
 「そうですとも。むしろ……こうして再び、殿下が本来のお姿で帰ってきてくださったことが、私たちにとってどれほどの喜びか……」

 セルジュは胸に手を当て、言葉を震わせながら続けた。

 「この十年、殿下のおそばに仕えておりながら力になれぬ自分を、どれほど悔いたことか。しかし今は、その悔いすら報われた思いです。エミリア様、殿下をお救いくださり本当にありがとうございました」

 深く頭を下げるセルジュに、エミリアは慌てて首を振った。
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