月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 淡く金色の光が、まるで燭火が揺れるように手のひらで脈を打つ。

 「……これは」
 「聖女の祈りの癒やしです。ほんの微かなものですが、痛みが緩和できるかと」

 レオナールは驚いたようにその手を見つめた。

 「温かいものだな……」
 「ええ。きっと、それは神の御心です」
 「いや……キミ自身の心だろう」

 エミリアは目を瞬いた。
 レオナールの声は穏やかで、先ほどまでのよそよそしさは消えている。
 暖炉の火がふたりの間でやわらかく揺らめき、外では雪が静かに降りはじめていた。
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