月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 彼の手の温もりが、たしかに自分を必要としてくれていると伝えてくる。その事実が、なによりも嬉しい。
 結界の光が空を満たすように、エミリアの心にも穏やかで力強い光が灯っていた。

 (この人と一緒なら、どんな闇でも越えていける)

 レオナールはそっと手を引き寄せられ、ふたり並んで祭壇の前に立った。
 空にはまだ、結界の光がゆるやかに脈打っている。その輝きはかつて失われたものではなく、これから築かれていく未来の象徴だった。
 エミリアは隣に立つ彼の横顔を見つめた。
 朝の光に照らされた銀の髪が揺れ、瞳にはたしかな決意が宿っている。
 この人となら国を守るという重さも、過去の痛みも、すべて分かち合っていける。エミリアは、強くそう思った。
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