月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 「殿下が……いえ、陛下が……」
 「……ああ」

 エミリアはその様子を見ながら、ふと胸に手を当てた。
 この王国の未来はまだはじまったばかり。
 だけど、あの背中を信じて歩けば、迷うことはない。そんな確信が、温かく胸に灯る。
 玉座に座ったレオナールがわずかに目を細め、こちらを見た。
 誰にも気づかれないほどの小さな微笑みを送ってよこす。エミリアはそれだけで胸が熱くなった。
 王レオナールと、その妃エミリア。
 光を取り戻した国の、新たな物語が静かに幕を上げた。
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