月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 昼は老人、夜は魔物。王都で囁かれていた言葉が胸の中で蘇る。
 暖炉の火がひときわ強く爆ぜ、影が壁を這った。
 エミリアはそっと目を伏せ、冷めかけたスープを口に運ぶ。温もりは舌に届いたが、なんともいえない複雑な心情が渦巻いた。

 (もし、本当に呪いがあるのだとしても……それが殿下の痛みであるなら、きっと癒せるはず)

 心の中でそう祈りながら、エミリアは静かにスプーンを置く。
 雪はまだやむ気配を見せなかった。
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