月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
「殿下の分も見つけましょう」
「私の?」
「ええ。夜の見回りのときも、きっと冷えるでしょうから」
その言葉にレオナールは苦笑する。
エミリアが微笑むと、レオナールの瞳がふとやわらいだ。
隣の店で、エミリアは厚手の革手袋を選んだ。外側は黒く、内側は温かな毛皮で覆われている。
「これなら、きっと殿下の手も温まります」
「ありがとう。しかし……私には少し贅沢すぎるな」
「贅沢ではありません。大切な方の手を守るものです」
そう言って差し出すと、レオナールは静かに受け取った。
彼の手のひらがエミリアの指に触れた瞬間、ふたりの間に流れる空気が少しだけ変わる。
穏やか陽光が雲間から差し込み、白い雪を金色に照らしていた。
「……不思議だな」
「なにが、ですか?」
「この姿になって、誰かに手を取られるとは思わなかった。それが、これほど温かいことだとは……」
エミリアは息を呑み、そして静かに笑みを浮かべた。
風が吹き、ひと筋の白髪がレオナールの頬で揺れる。それがなぜかとても美しく見えて、言葉が出なかった。
通りの片隅で子どもたちが雪玉を投げ合って遊んでいる。その笑い声はふたりの間に溶け、遠くで鐘の音が鳴った。どこまでも澄んだ音色だった。
「私の?」
「ええ。夜の見回りのときも、きっと冷えるでしょうから」
その言葉にレオナールは苦笑する。
エミリアが微笑むと、レオナールの瞳がふとやわらいだ。
隣の店で、エミリアは厚手の革手袋を選んだ。外側は黒く、内側は温かな毛皮で覆われている。
「これなら、きっと殿下の手も温まります」
「ありがとう。しかし……私には少し贅沢すぎるな」
「贅沢ではありません。大切な方の手を守るものです」
そう言って差し出すと、レオナールは静かに受け取った。
彼の手のひらがエミリアの指に触れた瞬間、ふたりの間に流れる空気が少しだけ変わる。
穏やか陽光が雲間から差し込み、白い雪を金色に照らしていた。
「……不思議だな」
「なにが、ですか?」
「この姿になって、誰かに手を取られるとは思わなかった。それが、これほど温かいことだとは……」
エミリアは息を呑み、そして静かに笑みを浮かべた。
風が吹き、ひと筋の白髪がレオナールの頬で揺れる。それがなぜかとても美しく見えて、言葉が出なかった。
通りの片隅で子どもたちが雪玉を投げ合って遊んでいる。その笑い声はふたりの間に溶け、遠くで鐘の音が鳴った。どこまでも澄んだ音色だった。