月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 夜が明けるまであと少し。自分ももう少し休もうと自室に向かうと、カーリンが心配そうにドアの前に立っていた。

 「エミリア様! どちらにいらしたんですか!?」

 カーリンが駆け寄る。物音がしたためエミリアの部屋を覗いたが、姿がなく、どうしたものかとオロオロしていたらしい。

 「ごめんなさい。レオナール様が怪我をされていたので……」
 「……殿下に、お会いになったのですか?」

 ひと言ずつ噛みしめるように尋ねる。

 「ええ」

 一拍置いてうなずいたエミリアの声がかすれる。
 カーリンは息を呑んで、言葉を選ぶように問いかけた。

 「それは……〝夜の殿下〟という意味でございますか?」

 その声音には恐れと確信と、わずかな安堵が混じっているように聞こえる。
 エミリアはそっと視線を落とし、手のひらを見つめた。そこには、さっきまで彼の傷を癒した光の名残がまだうっすらとある。

 「そうね。たしかにお姿が違って……でも、たしかにレオナール様だったわ」

 カーリンは胸の前で手を組み、ゆっくりと目を閉じる。
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