月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません

 その翌日からだった。まるで噂が広まったかのように、庭には新たな聖獣たちが次々と姿を見せた。
 羽の折れた白鳥のような聖獣、角を欠いた子鹿、焦げ跡の残る獣たち。皆、どこかしらに傷を負っていた。
 エミリアは日ごとに治癒を施し、カーリンとともに世話を焼いた。
 癒えた聖獣たちはしばらく滞在したのち、再び森へ帰っていく。

 「みんな、きっと傷が治る場所を探していたのね」

 そう呟いたエミリアの瞳に、祈りの光が宿っていた。
 そのとき、ふと心の奥でひらめいた。

 「……そうだわ。聖獣たちのための場所を作りましょう」
 「え?」
 「聖獣のための治療院を開くのはどうかしら。祈りと癒しの小さな家。そうすれば、もっと助けられるもの」
 「素敵ですわ! エミリア様らしいです!」

 カーリンは両手を叩いて大賛成した。
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