月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
「選ばれた者、か……。お前も昔はその座を望んでいたのではなかったか」
低く問うと、バネッサはわずかに笑った。
「ええ。でも、あの頃はまだ愚かでした。光を手に入れようとすればするほど、自分が醜く見えた。だから闇を選んだのです。……あなたと同じように」
ルーベンの背にあたる彼女の頬が、かすかに熱を帯びる。
「陛下。あなたの国には、もう祈りはいらない。必要なのは、あなたの恐れでも、迷いでもない。ただ、王としての意志だけです」
彼女の言葉は蜜のように甘く、同時に毒のように強かった。
ルーベンはその甘さを拒めず、肩の力を抜く。
「……そうだな。祈りなど、いらぬ」
そう言いながらも、胸の奥では鐘の音が鳴り続けていた。
それが罪の音だと知りながら、ルーベンは振り返ってバネッサの腕を掴み、その指先に口づけた。
バネッサの瞳が細くなる。
「いい子ですね、陛下」
その声には王をも包み込むような優しさと、王を手のひらの上で転がすようなふてぶてしさがあった。
低く問うと、バネッサはわずかに笑った。
「ええ。でも、あの頃はまだ愚かでした。光を手に入れようとすればするほど、自分が醜く見えた。だから闇を選んだのです。……あなたと同じように」
ルーベンの背にあたる彼女の頬が、かすかに熱を帯びる。
「陛下。あなたの国には、もう祈りはいらない。必要なのは、あなたの恐れでも、迷いでもない。ただ、王としての意志だけです」
彼女の言葉は蜜のように甘く、同時に毒のように強かった。
ルーベンはその甘さを拒めず、肩の力を抜く。
「……そうだな。祈りなど、いらぬ」
そう言いながらも、胸の奥では鐘の音が鳴り続けていた。
それが罪の音だと知りながら、ルーベンは振り返ってバネッサの腕を掴み、その指先に口づけた。
バネッサの瞳が細くなる。
「いい子ですね、陛下」
その声には王をも包み込むような優しさと、王を手のひらの上で転がすようなふてぶてしさがあった。