月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 老婦人がうなずくと、カーリンが満面の笑みを浮かべて手を叩いた。

 「きっと最高の一着になりますわ!」
 「そうね。本当に楽しみ」

 エミリアが微笑むと、レオナールは優しい目をしてうなずいた。
 外では小鳥のさえずりが聞こえる。
 その声を聞きながらレオナールはゆっくりと目を閉じた。皺を刻んだその横顔に、やわらかな光が落ちている。

 (どうか、レオナール様の呪いの負担が少しでも軽くなりますように)

 その穏やかな姿を見て、そっと祈る。

 「では、採寸に入りましょうか」

 老婦人が紐を取り出すと、エミリアは姿見の前に立った。
 淡い布を体にあてがい、肩や胸元に手を添え、正確な動きで寸法を測っていく。

 「もう少し肩を楽にしてくださいな」
 「は、はい……」

 久しぶりの作業に少し緊張しながらも、エミリアは鏡越しに視線を動かした。
 レオナールは部屋の奥の椅子に腰をかけ、静かにその様子を見守っている。
 老婦人が腰の位置に紐を巻きつけると、エミリアは思わず頬を赤らめた。体のラインがはっきりと出たため恥ずかしい。
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