あなたとは合わないと思っていたけれど
「来たのか」

 義父は今年で六十歳だが、外見は遥かに若く見える。社長として日々忙しく働いているからか、きびきびしていてエネルギーに溢れた印象だ。

「お義父さま、お誕生日おめでとうございます。こちらは武琉さんとふたりで選んだものです」

 香澄がプレゼントを手渡すと、義父はにこりと笑った。

「ありがとう。これはワインかな? 後でゆっくり頂くよ」

(喜んでもらえたみたいでよかった)

 武琉と目を合わせてから、その場を立ち去る。義父の元には挨拶をしに来る人が後を絶たないので、息子とはいえど長居は出来ないのだ。

 香澄は武琉と共に中庭の方に向かおうとした。ところが「香澄さん、こちらに来て」と義母から声をかけられた為、武琉と離れて義母のグループに入ることになった。

「大丈夫? 俺から言おうか?」

 武琉が心配そうに小声で言う。気遣いがある彼は、こういう場でもしっかりとりフォローしようとしてくれる。

「大丈夫。せっかく来たんだからお義母さまたちにも挨拶しないと」

 義母の周りには彼女と同年代の女性が何人かいる。きっと香澄を紹介しようとしているのだろう。

 武琉は「分かった」と頷いた。

「疲れたら母のことは気にせず離れていいからな」
「うん」

 武琉は中庭のガーデンチェアに座るグループに合流しに行った。香澄が義母のところに行くと思った通り、紹介が始まった。
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