あなたとは合わないと思っていたけれど
香澄はすぐに返事ができなかった。確かに菜恵の言う通りなのだ。
早織の存在は想定していなかったことで、武琉と契約の条件を決めたときにも、触れられなかったことだ。もし初めから知っていたら、過激な女性の陰がある相手との結婚なんて、期間限定でも引き受けなかったと思う。
よく考えてみると、武琉の方が契約違反をしている状況だ。
それなのに香澄は武琉に対して、怒りは感じていなかった。それどころか彼に負担をかけないように解決しようとしている。それはどうしてなのか。
(蛯名さんが厄介だからって今の生活を変えたくない)
不安と今の暮らしを秤にかけて、現状維持を選んでいる。
契約結婚を続けたい理由は、それだけだと思っていた。けれど今は……。
《香澄、どうしたの?》
「……なんでもない。いろいろあるけど、もう婚姻届けを出しているから、簡単に離婚なんてできないでしょ。それに約束は守らないと」
《たしかに香澄は責任感があるから途中で投げ出せないよね。分かった。でも気をつけてね。私も蛯名さんの協力者になりそうな人がいないか調べて分かったら伝えるから》
「ありがとう」
電話を切ると香澄は小さなため息を吐いた。
菜恵は香澄は責任感があると言っていたけれど、契約結婚を続けたい一番の理由は違っている。好条件の今の暮らしを変えたくないからでもない。
(私……武琉さんとの関係を切りたくないんだ)
早織の存在は想定していなかったことで、武琉と契約の条件を決めたときにも、触れられなかったことだ。もし初めから知っていたら、過激な女性の陰がある相手との結婚なんて、期間限定でも引き受けなかったと思う。
よく考えてみると、武琉の方が契約違反をしている状況だ。
それなのに香澄は武琉に対して、怒りは感じていなかった。それどころか彼に負担をかけないように解決しようとしている。それはどうしてなのか。
(蛯名さんが厄介だからって今の生活を変えたくない)
不安と今の暮らしを秤にかけて、現状維持を選んでいる。
契約結婚を続けたい理由は、それだけだと思っていた。けれど今は……。
《香澄、どうしたの?》
「……なんでもない。いろいろあるけど、もう婚姻届けを出しているから、簡単に離婚なんてできないでしょ。それに約束は守らないと」
《たしかに香澄は責任感があるから途中で投げ出せないよね。分かった。でも気をつけてね。私も蛯名さんの協力者になりそうな人がいないか調べて分かったら伝えるから》
「ありがとう」
電話を切ると香澄は小さなため息を吐いた。
菜恵は香澄は責任感があると言っていたけれど、契約結婚を続けたい一番の理由は違っている。好条件の今の暮らしを変えたくないからでもない。
(私……武琉さんとの関係を切りたくないんだ)