あなたとは合わないと思っていたけれど
 彼と会うのはこれで二度目。それも前回は軽く挨拶をしただけで、殆ど会話はなかった。その割に武琉はやたらとフレンドリーに話しかけてくるので、香澄は内心戸惑った。

 軽く話しかけてきている割りには振る舞いに品があり、表情も爽やかだから、決してナンパのような軽薄な感じがしない。

(きっとすごく社交的な人なんだな……)

 皆の憧れの的であるエースパイロットは、意外に気さくなのかもしれない。

「それなら食事でもどうかな?」
「えっ?」

 まさかいきなり誘われるとは思わなかった。香澄は目を丸くした。

「この前時間がなくて話せなかったけど、西條さんとゆっくり話したいと思っていたんだ」

 彼はたしかにそんなことを言っていた。

(でもあれって社交辞令じゃなかったの?)

 思わず足を止めた香澄に、武琉はにこやかな笑顔を向ける。

「あまり時間は取らせない。少し相談したいことがあるんだ」
「……相談ですか?」

(私に? エースパイロットが?)

 一体何があるというのだろうか。同じ会社といっても滅多に接点がない関係だ。相談されるようなことなんてまったく思い浮かばない。

 とはいえ、はっきり断るのも気が引ける。あまり気が進まないながらも香澄は勢いに流されるように頷いていた。

 武琉の案内で本社近くのフレンチレストランに移動した。店構えからしてラグジュアリーな雰囲気だ。
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