あなたとは合わないと思っていたけれど
 ただ見つめられると恥ずかしくて、どうしていいか分からなくなる。

「香澄……このまま抱いてもいいか?」

 体の中心に響くような色気を含む声に、香澄は息を飲んだ。

「でもまだ昼間だから……夜まで待とう」

 武琉の情熱的なキスに身を任せているとき、こうなるかもしれないと考えていた。

 けれど部屋の中の明るさが、香澄を躊躇わせる。

「待てない」

 熱を帯びた声でささやかれ、香澄は体を震わせた。

 貞淑な気持ちはたちまち霧散し、キスの続きに身を任せていた。

 お互いの気持ちを確かめ合ったのは昨夜のことだというのに、気持ちが加速して止まらない。

 彼の温もりを知った今、もっと彼を知りたい。触れ合いたいと強く思う。

 武琉は香澄の体を抱き上げた。急なことに香澄は驚いて悲鳴が出そうになるのをなんとか堪えた。

 武琉は足早に彼の部屋に向かい扉を開ける。

 香澄は彼の部屋に入るのは今日が初めてだ。物が少ないすっきりした部屋の壁際に、大きなベッドがある。

 武琉は香澄をそこにそっと降ろし、上に覆いかぶさってきた。

 それでも香澄に負担をかけないように、腕を着いて自分の体重を支えている。

 組み敷かれて至近距離で見つめ合う形になり、香澄の鼓動が跳ねた。

「大丈夫か?」

 武琉が優しく気遣いの声をかける。

「うん」
< 159 / 171 >

この作品をシェア

pagetop