あなたとは合わないと思っていたけれど
 夫婦間に愛があるなら、仕事優先でなかなか会えないような結婚生活は辛いと思う。

(私みたいな結婚願望がない相手を選んだのは、妻になる女性を悲しませないためなのかな?)

 目的が明確で割り切った人だと思っていたが、実は優しいところがあるのかもしれない。情に流されて中途半端な真似はしない強さと誠実さも感じる。

(信用できる人な気がする) 

「君にもできるだけ負担をかけないようにする。機長になるまで、あまり待たせはしないと思うから」

 武琉の声からは、言葉の通りに必ずやり遂げるという自信が伝わってきた。

(きっと本当に大した時間がかからないんだろうな。一年くらい?)

 どちらにしてもしばらくは結婚生活を送ることになりそうだ。でも契約結婚だとばれないようにするためにはそれくらいの時間が必要かもしれない。すぐに離婚したら、香澄の両親が再婚話をもくろむ可能性もある。

(ちょうどいい長さかもしれない。しかもその間はあまり家にいないってことだよね)

 仕事だけでなく、プライベートでも外に出るのが好きと言っていた。

(一か月のうち、三分の二はいなそう)

 同居と言っても、ひとりの時間が多そうだ。香澄にとって都合がいい。納得して頷いた。

「分かりました。では住まいはどうしますか?」
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