あなたとは合わないと思っていたけれど
「それは俺が今住んでるマンションでいいかと思ってる。ふたりで暮らすのに十分な部屋数があるし、新築三年で設備も新しく綺麗だ」
 
 場所は品川駅近くの分譲マンション。投資で増やした資金で購入したそうだ。

 香澄は内心驚愕した。彼の生活レベルは香澄が想像していた以上のレベルのようだ。
 
 しかも武琉の私室以外は、香澄が好きなようにしていいとのこと。

「君は自宅で過ごすのが好きだって言ってただろ? 必要ならリフォームしてもいいから」
「は、はい」

 香澄は戸惑いながら頷いた。

(条件が良すぎる!)

 確実に香澄の生活は向上し抱えている悩みが消えるだろう。契約期間後はバツイチになるが、たいした問題ではない。今時珍しくないし香澄自身それほどこだわりはない。迷っていた心がぐんぐん彼との結婚に向かっていく。

「光熱費や生活費は俺が負担する。経済的な心配は一切しなくていいから」

 香澄は目を見開いた。

(家賃も不要なのに! 私のお給料は全部お小遣いになるってこと?)

 そんな都合がいい話があっていいのだろうか。

 逆に怖くなって、香澄は慎重に口を開いた。

「本当にその条件でいいんですか? なんだか私にばかり都合がいい条件な気がしますけど」
「そうでもない。俺にとってもメリットがあることだから。西條さんは経済面について言ってるんだと思うけど、大した負担でもないから気にしなくていいよ」
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