あなたとは合わないと思っていたけれど
言い忘れや確認漏れがないように素早く目を通すだけのつもりだったが、武琉が興味を持ったようでリストを覗き込んだ。
「確認リスト?」
「あ、はい。思いついたことを書いただけなんですけど。文字にしておかないと忘れちゃうので」
「西條さんは真面目で几帳面なんだな。少し印象が変わったよ」
武琉は何かを思い出すように、くすりと笑いながらリストに視線を走らせる。
(もしかして釜めし屋での話を思い出してるのかな?)
あのときは彼が聞いているとは思いもせずに本音を語った。武琉の持つ香澄の印象は、適当でだらしない、几帳面さとは程遠い女なのかもしれない。
一瞬、居たたまれなさを感じたが、すぐに気を取り直した。
これから同居する相手に対して猫を被る必要はない。初めから適当なところが知られているのは気が楽だと言える。
そんなことを考えていると、リストを眺めていた武琉が思わずといったように吹き出した。
「どうしました?」
驚く香澄に、武琉は笑みを深めて答える。
「いや、この持ち物の、ぬか床の持ち込みは問題ないか? ってところが」
「えっ? あ、それは気にしないでください。思いついたものをメモしただけなんで」
完全な消し忘れだ。決してそんな質問をするつもりはなかった。
「ぬか漬け好きなんだ?」
「いえ、ときどき食べたくなるくらいで」
「白米に合うよな」
「そうなんですよ。お味噌汁とぬか漬けがあれば幸せで……あ、でも、共同生活の家に持っていく気はないですから」
「大丈夫。持ってきていいよ」
武琉は笑いを噛み殺している。
(馬鹿な質問だと思ったんだろうな……恥ずかしい)
結婚という人生の重要な選択の場で、そんなしょうもないことを考えているなんて。
とはいえ、見られてしまったものは仕方がない。
なかったことにして、香澄は真面目な表情を取り繕った。武琉の方はまだおかしそうな顔をしているけれど。
その後、今後の段取りなどを話し合い、武琉と別れたのだった。
「確認リスト?」
「あ、はい。思いついたことを書いただけなんですけど。文字にしておかないと忘れちゃうので」
「西條さんは真面目で几帳面なんだな。少し印象が変わったよ」
武琉は何かを思い出すように、くすりと笑いながらリストに視線を走らせる。
(もしかして釜めし屋での話を思い出してるのかな?)
あのときは彼が聞いているとは思いもせずに本音を語った。武琉の持つ香澄の印象は、適当でだらしない、几帳面さとは程遠い女なのかもしれない。
一瞬、居たたまれなさを感じたが、すぐに気を取り直した。
これから同居する相手に対して猫を被る必要はない。初めから適当なところが知られているのは気が楽だと言える。
そんなことを考えていると、リストを眺めていた武琉が思わずといったように吹き出した。
「どうしました?」
驚く香澄に、武琉は笑みを深めて答える。
「いや、この持ち物の、ぬか床の持ち込みは問題ないか? ってところが」
「えっ? あ、それは気にしないでください。思いついたものをメモしただけなんで」
完全な消し忘れだ。決してそんな質問をするつもりはなかった。
「ぬか漬け好きなんだ?」
「いえ、ときどき食べたくなるくらいで」
「白米に合うよな」
「そうなんですよ。お味噌汁とぬか漬けがあれば幸せで……あ、でも、共同生活の家に持っていく気はないですから」
「大丈夫。持ってきていいよ」
武琉は笑いを噛み殺している。
(馬鹿な質問だと思ったんだろうな……恥ずかしい)
結婚という人生の重要な選択の場で、そんなしょうもないことを考えているなんて。
とはいえ、見られてしまったものは仕方がない。
なかったことにして、香澄は真面目な表情を取り繕った。武琉の方はまだおかしそうな顔をしているけれど。
その後、今後の段取りなどを話し合い、武琉と別れたのだった。