あなたとは合わないと思っていたけれど
彼は社内の評判にも気を使うべきだと言った。新婚早々仮面夫婦と思われるのは困るらしい。おそらく両親の耳に入ってうるさいことを言われるのが面倒なのだろう。
香澄の両親は山梨在住だから余程のことがない限り噂を聞くことはないだろうが、武琉の両親は都内在住で知人も多い。いつどこから不仲説が耳に入るか分からない。
「分かった。うまく演技するよ」
「ありがとう、助かる」
「それにしても香澄が先に結婚するとは思わなかった。一生独身かもしれないと思ってたし」
菜恵がしみじみと呟く。
「私も自分が結婚するなんて思わなかったよ」
結婚した自分の姿を想像することができなかった。無縁な話だと思っていた。
両親からの干渉とトラブルが重なってうえに、同じような問題を持つ武琉と出会わなかったら、今でも結婚から逃げていただろう。
「でもさ、相手が天谷さんでよかったと思うよ。契約でも相手がいい男の方がうれしいでしょ。ねえ、今のところ本当になんとも思ってないの?」
「天谷さんに恋愛感情があるかってこと? 全然ないよ」
彼に憧れる女性が多いのはよく分かる。香澄自身、早い時点で彼に好感を持ったくらいだ。ただ恋をしているのとは違う。おそらく香澄は恋愛に対する感度が低い。
武琉が香澄を契約相手に選んだのは、きっとそういった枯れた部分が都合よく感じたからだ。
香澄の両親は山梨在住だから余程のことがない限り噂を聞くことはないだろうが、武琉の両親は都内在住で知人も多い。いつどこから不仲説が耳に入るか分からない。
「分かった。うまく演技するよ」
「ありがとう、助かる」
「それにしても香澄が先に結婚するとは思わなかった。一生独身かもしれないと思ってたし」
菜恵がしみじみと呟く。
「私も自分が結婚するなんて思わなかったよ」
結婚した自分の姿を想像することができなかった。無縁な話だと思っていた。
両親からの干渉とトラブルが重なってうえに、同じような問題を持つ武琉と出会わなかったら、今でも結婚から逃げていただろう。
「でもさ、相手が天谷さんでよかったと思うよ。契約でも相手がいい男の方がうれしいでしょ。ねえ、今のところ本当になんとも思ってないの?」
「天谷さんに恋愛感情があるかってこと? 全然ないよ」
彼に憧れる女性が多いのはよく分かる。香澄自身、早い時点で彼に好感を持ったくらいだ。ただ恋をしているのとは違う。おそらく香澄は恋愛に対する感度が低い。
武琉が香澄を契約相手に選んだのは、きっとそういった枯れた部分が都合よく感じたからだ。