あなたとは合わないと思っていたけれど
彼女とは大学で知り合った。学部が違うので在学中はそこまで親しくなかったが、就職先が同じということで接点が増えて今では一番の親友だ。といっても彼女はCAで海外を飛び回っているので、会うのは半月に一度程度。
出不精の香澄だが、菜恵と会うのは楽しみにしている。
香澄は駅近くの釜めし屋【由羅】の藍色の暖簾をくぐった
香澄と菜恵のお気に入りの店で、定期的に訪れている。
店に入るとすぐに「香澄」と呼びかけられる。声の方に視線を向けると、入り口近くで菜恵がコートを脱いでいるところだった。彼女も今来たところらしい。
寒さで鼻のてっぺんが赤くなっているが、切れ長の目が印象的な美貌は相変わらずだ。
「菜恵、おつかれさま。タイミング一緒だったね」
香澄もコートを脱いで右手にかけると、菜恵と連れだって檜のカウンター席を横切り、奥の半個室に向かう。三方を仕切りで囲まれた中に掘りごたつ式の四人掛けテーブルが三部屋並ぶ造りだ。
空いている真ん中の席に着いた。
香澄と菜恵がこの店に初めてきたのはもう六年くらい前だけれど、メニューは殆ど変わっていない。
香澄は鮭いくら、菜恵は鳥ごぼうの釜めしを頼んでひと息つくと、菜恵が何かに気づいたように眉を上げた。
「ねえ香澄、顔色よくないよ。体調が悪いの?」
「大丈夫」
「それじゃあ、いやなことでもあった?」
出不精の香澄だが、菜恵と会うのは楽しみにしている。
香澄は駅近くの釜めし屋【由羅】の藍色の暖簾をくぐった
香澄と菜恵のお気に入りの店で、定期的に訪れている。
店に入るとすぐに「香澄」と呼びかけられる。声の方に視線を向けると、入り口近くで菜恵がコートを脱いでいるところだった。彼女も今来たところらしい。
寒さで鼻のてっぺんが赤くなっているが、切れ長の目が印象的な美貌は相変わらずだ。
「菜恵、おつかれさま。タイミング一緒だったね」
香澄もコートを脱いで右手にかけると、菜恵と連れだって檜のカウンター席を横切り、奥の半個室に向かう。三方を仕切りで囲まれた中に掘りごたつ式の四人掛けテーブルが三部屋並ぶ造りだ。
空いている真ん中の席に着いた。
香澄と菜恵がこの店に初めてきたのはもう六年くらい前だけれど、メニューは殆ど変わっていない。
香澄は鮭いくら、菜恵は鳥ごぼうの釜めしを頼んでひと息つくと、菜恵が何かに気づいたように眉を上げた。
「ねえ香澄、顔色よくないよ。体調が悪いの?」
「大丈夫」
「それじゃあ、いやなことでもあった?」