あなたとは合わないと思っていたけれど
愛がない結婚をすると決めたのは自分。今更不安になる訳にはいかない。
(挨拶が上手くいったら、後は自由で気楽な暮らしが待ってるんだから)
武琉が玄関の前で立ち止まる。玄関は驚くくらい広くてまるで旅館のようだ。
香澄がさりげなく周囲を見回していると、玄関の引き戸が音を立てて開いた。
扉を開けたのは六十過ぎと思われる女性だった。
「武琉さん、お帰りなさいませ」
彼女はすぐに武琉に頭を下げた。態度と言葉使いからおそらく天谷家の使用人なのだろう。これだけの豪邸だから存在するだろうと思っていたが、実際目の当たりにすると少しカルチャーショックのような感覚に陥る。
「ただいま、両親はどこに?」
武琉が慣れた様子で声をかける。
「応接間でお待ちです」
「ありがとう」
武琉はそう言うと香澄を促して長い廊下を進んだ。使用人の女性に香澄を紹介する気はないようだ。きっと必要ないと判断したからなのだろう。
(この先来ることは、ほとんどないだろうしね)
応接間の扉をノックして扉を開けると、室内には武琉の両親と思われる五十代後半くらいの男女と、三十代前半くらいの男女、まだ幼稚園前の小さな女の子の五人の姿があった。
(天谷さんの両親とお兄さん? あとお兄さんの奥さんとお嬢さんかな?)
彼の家族構成は両親と三歳上の兄だと言っていたのを思い出しながら判断する。
(挨拶が上手くいったら、後は自由で気楽な暮らしが待ってるんだから)
武琉が玄関の前で立ち止まる。玄関は驚くくらい広くてまるで旅館のようだ。
香澄がさりげなく周囲を見回していると、玄関の引き戸が音を立てて開いた。
扉を開けたのは六十過ぎと思われる女性だった。
「武琉さん、お帰りなさいませ」
彼女はすぐに武琉に頭を下げた。態度と言葉使いからおそらく天谷家の使用人なのだろう。これだけの豪邸だから存在するだろうと思っていたが、実際目の当たりにすると少しカルチャーショックのような感覚に陥る。
「ただいま、両親はどこに?」
武琉が慣れた様子で声をかける。
「応接間でお待ちです」
「ありがとう」
武琉はそう言うと香澄を促して長い廊下を進んだ。使用人の女性に香澄を紹介する気はないようだ。きっと必要ないと判断したからなのだろう。
(この先来ることは、ほとんどないだろうしね)
応接間の扉をノックして扉を開けると、室内には武琉の両親と思われる五十代後半くらいの男女と、三十代前半くらいの男女、まだ幼稚園前の小さな女の子の五人の姿があった。
(天谷さんの両親とお兄さん? あとお兄さんの奥さんとお嬢さんかな?)
彼の家族構成は両親と三歳上の兄だと言っていたのを思い出しながら判断する。