あなたとは合わないと思っていたけれど
 その後、香澄の両親とのオンラインでの顔合わせも大成功だった。両親は武琉を気に入り、早く実際会いたいと仕切りに言っていたくらいだ。

 香澄にとって難関だった両家への挨拶を終えて、週末土曜日に武琉のマンションに引っ越しをした。

 彼の住まいは二十四時間体制のコンシェルジュがいる、いかにも高級な雰囲気が漂う低層レジデンスだ。彼の部屋は最上階である四階部分の角部屋で間取りはゆとりのある3LDK。この物件を一括払いで購入したという武琉は、パイロットとしてだけでなく、投資家としての才能もあるのかもしれない。

「お邪魔します……」

 事前に貰っていたカードキーで少し緊張しながら玄関のドアを開ける。武琉は不在なのでもちろん返事は帰ってこない。シンとした廊下を進んだ先には二十畳以上ありそうなリビングだった。

 ソファと大型テレビダイニングテーブルなどがある。モノトーンのインテリアはスタイリッシュでシンプルだ。武琉は部屋造りには拘りがなく適当に買った家具を適当に配置しただけと言っていたが、とても洗練された部屋だと感じた。

 香澄が好きなように変えていいと言っていたけれど、ここを自分好みに変更するのは気が引ける。秩序が乱れるというか。

 香澄が自分で借りている家なら秩序よりも個人的心地よさを選ぶ。でも好きにしていいと言われても武琉の家だ。

(どうしようかな……)
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