あなたとは合わないと思っていたけれど
 悩みながらリビングを出て玄関近くの個室に向かった。三部屋ありひとつは武琉が寝室として使っている。空いている部屋を香澄の好きにしていいそうだ。分かりやいすように扉を開けておくと言っていたのですぐに分かった。

「わあ、広い……」

 八畳くらいはあるだろうか。家具が何もないからとても広く感じる。壁際にはウォークインクローゼットまで備え付けられていた。

 その後、あまり使用感がないキッチンやバスルームを確認していると、引っ越し業者が来て荷物を運びこんでくれた。家電などはリサイクルショップに売ったので、それほど大荷物ではない。香澄はてきぱきと配置を指示した。

 八畳の部屋の中には、香澄が数年愛用しているベッドとドレッサー兼用のデスク。お気に入りのチェストなどが置かれ、あっと言う間に生活感が出始めた。

 服やバッグなどはダンボールに入れたままなので、一つ一つあけてクローゼットに仕舞っていく。

(断捨離してきてよかったな)

 香澄は自宅時間を大切にするだけに、独り暮らしにしては荷物が多い方だ。

 引っ越しのために思い切って断捨離をしたので、今は服もアクセサリーも一軍のものだけが残っている。

 物が少なくなったので整理整頓がやりやすい。

 二時間ほどで作業を終えると、以前の自室とは雰囲気が違いながらも、それなりに納得できる部屋になった。

「問題はこれだよね」
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