あなたとは合わないと思っていたけれど

 翌日。香澄と武琉は区役所に寄り婚姻届けを提出した。

 契約結婚だけに、手続きは淡々とした作業といった感じで、感動などは何もない。

 サインするときも、緊張も胸に迫るものもなく淡々としたものだった。

 ドライかもしれないが、変に気負うよりはいいかもしれない。

 武琉は香澄以上に平然としていた。

(面倒な手続きが完了してほっとしてる感じかな?)

 香澄はそんなことを思いながら彼の顔を眺めていた。すると視線を感じたのか目が合ってしまった。

 武琉が不思議そうな顔をする。

(じろじろ見すぎたかな?)

 香澄は何も言わずに目を逸らした。

 必要な手続きが終了した後、武琉は約束があるとのことで、家には帰らずどこかに立ち去った。

 明日まで休みなので、どこかに遊びに行ったのかもしれない。

 香澄は去っていく武流にちらりと目を遣ってから、ひとりでマンションに向かった。

 結婚記念日は二月十五日。雪がちらちら舞い落ちるとても寒い日だった。
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