あなたとは合わないと思っていたけれど
武琉がダイニングチェアに腰を下ろすと、香澄は彼のカップに香り豊かな紅茶を注いだ。
それから自分の分も用意して、お土産の焼き菓子をふたりの中間の位置に置く。
焼き菓子は素朴な見た目通りの味だった。ほんのり甘くて少しぼそっとしている。どこか懐かしい感じがした。香澄はひとつ食べてから見つめた。
「武琉さん、数日前のことなんだけど、蛯名早織さんが私を訪ねてきました」
「早織が?」
彼は驚いたのか、焼き菓子に伸ばしていた手をぴたりと止めて香澄を見つめた。
「なんの用だったんだ?」
「はっきりは分かりませんけど、武琉さんが結婚した相手に関心があるみたいで……彼女は武琉さんと幼い頃からの知り合いだと言っていました」
「ああ。彼女の蛯名家とは昔から付き合いがあって特に母親同士が親しい。その関係で早織は昔からうちに頻繁に出入りしていたんだ」
香澄は相槌を打ったが、内心では彼が慣れた様子で早織と呼び捨てていることに、少し感情が乱れていた。
幼馴染なのだから当然ではあるが、武琉は滅多に他の女性について語らない。だから突然特別な女性が現れたようで、なんだか戸惑ってしまったのだ。
「彼女は武琉さんと結婚の話もあったと言ってましたけど」
心が乱れているが、香澄はこの機会に疑問を全部聞きたいと思っている。でなければ気になって悩んでしまいそうだから。
「早織がそんなことを?」
それから自分の分も用意して、お土産の焼き菓子をふたりの中間の位置に置く。
焼き菓子は素朴な見た目通りの味だった。ほんのり甘くて少しぼそっとしている。どこか懐かしい感じがした。香澄はひとつ食べてから見つめた。
「武琉さん、数日前のことなんだけど、蛯名早織さんが私を訪ねてきました」
「早織が?」
彼は驚いたのか、焼き菓子に伸ばしていた手をぴたりと止めて香澄を見つめた。
「なんの用だったんだ?」
「はっきりは分かりませんけど、武琉さんが結婚した相手に関心があるみたいで……彼女は武琉さんと幼い頃からの知り合いだと言っていました」
「ああ。彼女の蛯名家とは昔から付き合いがあって特に母親同士が親しい。その関係で早織は昔からうちに頻繁に出入りしていたんだ」
香澄は相槌を打ったが、内心では彼が慣れた様子で早織と呼び捨てていることに、少し感情が乱れていた。
幼馴染なのだから当然ではあるが、武琉は滅多に他の女性について語らない。だから突然特別な女性が現れたようで、なんだか戸惑ってしまったのだ。
「彼女は武琉さんと結婚の話もあったと言ってましたけど」
心が乱れているが、香澄はこの機会に疑問を全部聞きたいと思っている。でなければ気になって悩んでしまいそうだから。
「早織がそんなことを?」