あなたとは合わないと思っていたけれど

 土曜日。武琉と共にホテルを訪れた香澄は、想像以上の招待客に圧倒された。

「本当にこれが誕生日パーティーなの?」

 節目の祝いと聞いていたが、親しい親族や友人を招いてせいぜい二十人、多くても三十人くらいの集まりを想像していたのだ。ところがその何倍もの人数がいる。

 名家の誕生日パーティーだから、会場はスイートルームでも貸切るのかと思っていたが、実際はそれ以上だった。

 披露宴を行うような宴会場が、義父の為に整えられ飾り付けられている。まるで大企業の創立記念パーティーのような賑わいだ。

(これがほんものの上流階級……)

 香澄は気が引けているが、幼い頃からこの環境を当然として育っている武琉にとってはこれといって珍しいことでもないのだろう。彼はすれ違う人たちと気軽に挨拶を交わし、自然な流れで香澄を紹介してくれる。

 香澄はなんとか笑顔をつくって頑張っていたが、挨拶が途切れた途端にため息を吐いた。

「どうした?」
「緊張しちゃって……こんなに盛大なパーティだと思わなかったから」
「悪い、俺の説明不足だったな」

 武琉が申し訳なさそうな表情になる。

「ううん、私の想像力が足りなかっただけだから」

 武琉と香澄の常識に差があるだけだ。

 それに香澄は名門家庭の夫の妻にはなったものの、あくまで契約結婚の妻という立場なため、あまり気構えのようなものができていなかった。
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