あなたとは合わないと思っていたけれど
 このような義実家のイベントへの参加も務めだと思って参加しているが、熱心に下調べをするほどの手間はかけていない。義父へのプレゼントを用意しただけで、頑張っているつもりになっていた。

(考えが甘かったな。次は気をつけよう)

「私、場違いじゃ……この服装で大丈夫なのかな?」

 香澄はドレスアップしている女性たちの姿を眺めた。

 本格的なドレスやブランドもののスーツの人が多い。香澄は自分が持っている中では一番上質なミルク色のワンピースにパールのアクセサリーを合わせて自分なりに装ってきたつもりだが、この中では一番地味な気がする。

 もう来てしまったから仕方がないが、武琉に恥ずかしい思いをさせてしまっていないかが心配だ。

「そんなことない。もし問題があるなら着替えをした時点で言っている」

 武琉が何も言わなかったということは、許容範囲だということだろうか。

「それならいいんだけど……」

 自信喪失の香澄に、武琉が柔らかな声で囁く。

「香澄は自分を過小評価している。俺はさっきから羨望の目を向けられているんだけど、気づいてない?」
「羨望って?」
「香澄のおかげで、俺は素敵なパートナーを連れていて羨ましいって思われているんだ」

 武琉が安心させるような笑みを浮かべた。

「……ありがとう」

 場慣れしていない香澄を励ますためのお世辞だとは分かっているが、彼が気遣ってくれることがうれしかった。
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