The Melody of My Love for Youー君への恋の旋律
次の日の朝。

妃那はいつもより少し早く家を出た。

──もしかしたら、律がもう教室にいるかもしれない。

そんな期待を胸に、昇降口を抜け、そっとドアを開ける。

「……おはよーございまーす」

小さな声でつぶやきながら入ると、予想通り律がいた。

まだ誰もいない教室で、一番乗りの彼はイヤホンを耳に差し込み、何かを聴いている。

朝から音楽を聴いている姿に、妃那は「早いなぁ」と心の中で呟きながら、自分の席に腰を下ろした。

すると律が片耳のイヤホンを外し、妃那の席へ歩いてきた。

「おはよう」

「……あ、おはよう」

律は少し笑みを浮かべて言った。

「華音のフル、出たの聴いた?」

「……あー、うん。聴いたよ」

「よかったよなー!マジで、あの曲、片思いの曲だけど、自分のこと言ってるみたいで、なんか楽しいんだよ」

その言葉に、妃那の心臓が跳ねる。

思わず口をついて出た。

「……律くん、片思いしてるんだ」

言った瞬間、慌てて口を押さえる。

「しまった……」

律は少し間を置いて、「あーー……まあ」と、はぐらかすように返した。

空気が重くなった気がして、妃那は慌てて話題を変える。

「ご、ごめんね!てか、あの曲のサビ、よかったよね」

自分で言ってから、自画自賛みたいで恥ずかしくなる。

けれど律はすぐに切り替えて、目を輝かせた。

「そう!!マジで、サビのメロディーと歌詞が、もうよくてさ!」
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