初恋の続きはトキメキとともに。
「わたしは南雲さんと同じチームの営業アシスタントなんで、しばらくはわたしが色々お教えする役になります! なんでも気軽に聞いてくださいね!」

「そうなんだ。初めてのことばかりで色々聞いちゃうかもしれないけどよろしくね」

「はい! わたしこそまだまだ経験不足でお役に立てるか実はちょっと心配なんですけど……頑張りますね! あ、ちなみに南雲さんがアシスタントにつく営業は主任なんで、直接主任に聞いてもらった方が早いことも多いかもです」

「主任?」

「噂とか聞いたことありません? うちの主任、社内では結構有名人なんですよ。本社営業部のエースって言われるくらいかなり仕事のできる人で、しかも超イケメン! ルックスが良いだけじゃなく、スマートで優しくて性格も抜群なんですよ。めっちゃ頼りになりますよ!」

 ……うわぁ、聞いてるだけで、なんだか凄そうな人……! そんな人のアシスタントが私に務まるのか心配だなぁ。

支社にいた私は社内の噂に疎く、またそういった女性社員が騒ぎそうなイケメン社員の情報にも興味がなかったため、その主任については初耳だった。

ただでさえ総務から営業という畑違いの場所への異動で不安なのに、そんな有名人の担当というのはプレッシャーだ。

再びむくむくと新たな不安の芽が芽吹き始める。

ちょうどそのタイミングで、本社営業部のフロアに到着した。

セキュリティカードをかざして執務フロアへ入り、高梨さんの背中を追いかけて営業一課のデスクがある方へ向かう。

歩くたびにすれ違う人々からの好奇に満ちた視線が突き刺さった。

注目を浴びることが得意ではない私には、どうにも居心地が悪くムズムズしてしまう。

「井澤課長、おはようございまーす! 南雲さんをご案内してきましたぁ!」

そうこうしているうちに営業一課の島に辿り着き、高梨さんが私を課長へと引き合わせてくれた。

一般社員のデスクから少しだけ離れた場所に位置する独立デスク。

そこに座る課長が、高梨さんの声に顔を上げる。
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