初恋の続きはトキメキとともに。
厳格な雰囲気を醸し出す、強面な顔をした40歳くらいの男性だ。
裏社会でも通用しそうな鋭い眼差しで見据えられ、私は一瞬ビクッと肩を揺らした。
以前の直属の上司は仏の顔をした物腰柔らかな人だったため、その落差もあって内心怯んでしまう。
「よし、じゃ朝礼始めるぞ。集まれ」
井澤課長の一声で、課長のもとに営業一課のメンバーがぞろぞろと集合し出し、あっという間に朝礼が始まった。
私は課長の隣に立ち、さっそくメンバーへと紹介される。
「今日付けで営業一課に異動してきた南雲だ。南雲、皆に向けて自己紹介を頼む」
「あ、はい。えっと、神奈川支社の総務部から異動してきました南雲遥香です。入社以来ずっと総務だったので営業部の業務には不慣れでご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、一日も早く戦力になれるよう頑張ります。ご指導よろしくお願いします!」
急に挨拶を振られたものの、これは想定内。
予め考えておいた言葉を口にし、私は最後にペコリと頭を下げた。
緊張ぎみに顔を上げると、パチパチパチという温かな拍手と笑顔で迎えられ、ひとまず胸を撫で下ろす。
井澤課長はちょっと怖そうだけど、部署メンバーはみんな優しそうだ。
「南雲には広瀬のチームでアシスタントをしてもらう。とはいえ他のチームとも連携は必須だ。この朝礼ではメンバーの自己紹介は割愛するが、後で南雲に各々挨拶しておくように。……ところで広瀬はどこだ? 姿が見えないが」
「広瀬主任は取引先から呼び出されて今日は急遽直行になりました。午後には出社されると思います」
「そうか、分かった。では続いて連絡事項と売上状況について――……」
私の挨拶が終わると、朝礼はそのまま次の話題へと進んでいく。
今日が初日の私には、残念ながらその場で話される内容はほとんど理解できなかった。
営業部特有の用語が多く、日本語自体は分かるけれど意味を掴むのが難しいのだ。
それに加えて、私が若干うわの空だったのも影響している。
……えっ? 今なんて? 主任の名前、“広瀬”って言わなかった……?
裏社会でも通用しそうな鋭い眼差しで見据えられ、私は一瞬ビクッと肩を揺らした。
以前の直属の上司は仏の顔をした物腰柔らかな人だったため、その落差もあって内心怯んでしまう。
「よし、じゃ朝礼始めるぞ。集まれ」
井澤課長の一声で、課長のもとに営業一課のメンバーがぞろぞろと集合し出し、あっという間に朝礼が始まった。
私は課長の隣に立ち、さっそくメンバーへと紹介される。
「今日付けで営業一課に異動してきた南雲だ。南雲、皆に向けて自己紹介を頼む」
「あ、はい。えっと、神奈川支社の総務部から異動してきました南雲遥香です。入社以来ずっと総務だったので営業部の業務には不慣れでご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、一日も早く戦力になれるよう頑張ります。ご指導よろしくお願いします!」
急に挨拶を振られたものの、これは想定内。
予め考えておいた言葉を口にし、私は最後にペコリと頭を下げた。
緊張ぎみに顔を上げると、パチパチパチという温かな拍手と笑顔で迎えられ、ひとまず胸を撫で下ろす。
井澤課長はちょっと怖そうだけど、部署メンバーはみんな優しそうだ。
「南雲には広瀬のチームでアシスタントをしてもらう。とはいえ他のチームとも連携は必須だ。この朝礼ではメンバーの自己紹介は割愛するが、後で南雲に各々挨拶しておくように。……ところで広瀬はどこだ? 姿が見えないが」
「広瀬主任は取引先から呼び出されて今日は急遽直行になりました。午後には出社されると思います」
「そうか、分かった。では続いて連絡事項と売上状況について――……」
私の挨拶が終わると、朝礼はそのまま次の話題へと進んでいく。
今日が初日の私には、残念ながらその場で話される内容はほとんど理解できなかった。
営業部特有の用語が多く、日本語自体は分かるけれど意味を掴むのが難しいのだ。
それに加えて、私が若干うわの空だったのも影響している。
……えっ? 今なんて? 主任の名前、“広瀬”って言わなかった……?