初恋の続きはトキメキとともに。
見晴らしが自慢の露天風呂からは、湖が一望できる。

今の時間帯、湖は闇に沈んでいたけれど、そのぶん夜空には満天の星が瞬いていた。

「あっという間でしたね」

「本当にね。明日には東京に戻って、その翌日からまた仕事かぁ。なんか信じられないな」

「ふふっ、私もです。旅行、すごく楽しかったです。提案してくれて、ありがとうございました」

「俺も楽しかった。遥香と一緒に過ごせて嬉しかったよ」


洸くんは柔らかく目を細め、私の肩にそっと手を回した。

私も寄り添うようにゆっくりと体を預ける。

触れ合う素肌から伝わる体温が心地よく、言葉では言い表せないほどの安心感に包まれた。

「来年も、同じ時期にまたここに来ようか」

「来年も?」

「もちろん……再来年も」

洸くんが口にしたのは、未来への約束だった。

それは以前の私が避けていたもの。

でも今は……

「じゃあ、ずっと予定を空けておかなきゃですね」

私は微笑みを浮かべて、頷いた。


この先も、きっといろんなことがあるだろう。

また不安に呑み込まれそうになることだってあるかもしれない。

それでも、もう終わりを恐れて心にブレーキをかけたりはしない。

大好きな人と向き合い、言葉を交わし、心を通わせ――一緒にこの恋を“最後の恋”にする努力をしていくって決めたから。


「遥香、愛してるよ」

「うん、私も洸くんのこと、昔も今もこれからも……ずっとずっと大好きです」


視線が甘く重なり、そっと目を閉じる。

輝く春の星空の下、私達はすべてが溶け合うような優しいキスを交わした――。


END
< 119 / 119 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:55

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる

総文字数/116,992

恋愛(ラブコメ)204ページ

ベリーズカフェラブストーリー大賞エントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
ゆるふわ系の可愛い容姿、絶やさない笑顔、 相手の自尊心をくすぐる褒め言葉。 これらを巧みに駆使する来栖亜湖は、 自他ともに認める愛され女子。 そんな亜湖のストレス発散法は、 口には出さない自分の思い(愚痴や不満)を カフェでノートに書き殴ること。 名付けて『グチグチノート』だ。 ある日、うっかり『グチグチノート』を 置き忘れてしまったところ、 なんとイケメンに拾われてしまった。 中身を読まれたかもしれないと内心ヒヤヒヤしつつ 素知らぬ顔でいつも通りの笑顔を浮かべ お礼を述べると…… 「ボロクソ言ってくれない?」 そんな予想外に変な依頼をされてしまって――? ———————————————— 来栖 亜湖(くるす あこ) 25歳 日系大手JP航空の客室乗務員 × 葉山 要(はやま かなめ) 30歳 ベストセラー多数の売れっ子小説家 ————————————————
表紙を見る 表紙を閉じる
戦争孤児であるティナは 生まれつき豊富な魔力と治癒魔法に恵まれ、 8歳の頃に教会に聖女として保護される。 以来、力を使って人々を救ってきた。 だが、18歳になったある日、 突然治癒魔法が使えなくなる。 それにより手のひらを返したように見放され、 教会から追放されてしまうことに。 身寄りのないティナはなんとか生計を立てようと思案。 そんな折、天才と名高い 魔法師団長のレイビスが訪ねてくる。 研究熱心な魔法オタクであるレイビスに、 治癒魔法が使えなくなった現象と 再び力を取り戻すための方法を解明したいから 実験に付き合って欲しいと頼まれる。 生活費を得るために引き受けたティナだったが、 その実験は思いもよらないものでーー? ※設定がゆるい部分もあると思いますので、気楽にお読み頂ければ幸いです。 ※全年齢向けのためRシーンはありません。
人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
★2024年12月に ベリーズファンタジースイートにて Web版から改題&改稿して書籍化! 書籍では番外編や特典SSが読めます★ ————————— リズベルト王国の王女アリシアは、 敗戦に伴い長年の敵対国である隣国との同盟のため ユルラシア王国の王太子のもとへ嫁ぐことになる。 正式な婚姻は1年後。 本来なら隣国へ行くのもその時で良いのだが、 アリシアには今すぐに行けという命令が言い渡された。 つまりは正式な婚姻までの人質だ。 しかも王太子には寵愛を与える側妃がすでにいて 愛される見込みもないという。 しかし自国で冷遇されていたアリシアは、 むしろ今よりマシになるくらいだと思い、 なんの感慨もなく隣国へ人質として旅立った。 そして隣国で、 王太子の側近である美貌の公爵ロイドと出会う。 ロイドはアリシアの監視役のようでーー? これは前世持ちでちょっぴりチートぎみなヒロインが、 前向きに人質生活を楽しんでいたら いつの間にか愛されて幸せになっていくお話。 ※設定がゆるい部分もあると思いますので、気楽にお読み頂ければ幸いです。 ※前半〜中盤頃まで恋愛要素低めです。どちらかというとヒロインの活躍がメインに進みます。また全年齢向けのためRシーンはありません。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop