初恋の続きはトキメキとともに。
昼間に広瀬主任の役に立てた時の喜びを思い出しながら答えたせいか、思った以上に感情が乗ってしまったようだ。

私は急に恥ずかしくなってふいと視線を逸らすと、誤魔化すようにゴクゴクとビールを煽った。

隣からじっと顔を見つめられている気配を感じたけど、わざと気づかないふりをする。

頬が熱くてたまらない。

それはそうと、この飲み会でも広瀬主任の席は私の隣だった。

オフィスでも隣、飲み会でも隣。

高校の時はあれほど遠い存在だった憧れの人が、ここ最近は隣が定位置かのようにすごく近くにいる。

その事実にふとした瞬間にとても不思議な気分にさせられる。

今もお酒が入っているから余計にふわふわ夢心地だ。

「へーい! 広瀬主任、南雲さん、飲んでるっすかー?」

「一課のムードメーカー、我ら久我&高梨コンビが参上ですよ〜!」

その時、弾むような声とともにほんのり顔を赤らめた久我くんと高梨さんが私達の前の席にやってきた。

ご機嫌な様子で「乾杯〜!」と言いながら、ジョッキを掲げてくる。

2人の登場により、その場は一気に賑やかな空気に変わった。

「南雲さん、楽しんでる? 営業の飲み会ってうるさいって引いてない?」

「えっ、そんなことないよ? 十分楽しんでるよ」

「良かったぁ〜! 久我さんと心配してたんですよ。総務の方って落ち着いて飲んでるイメージなんで、こういうノリ苦手かもしれないなぁって」

「そうなんだ。実は支社の総務ってそもそも飲み会自体がほとんどなくって。だから新鮮だし、楽しいよ。気遣ってくれてありがとう」

私が微笑んでそう答えると、2人は心底嬉しそうにパッと顔を輝かせた。

久我くんと高梨さんは幹事として私を気に掛けてくれていたのだろう。

一課のムードメーカーという異名に違わぬ気遣いっぷりだ。

「それで、広瀬主任と南雲さんは何話してたっすか?」

「仕事の話だよ。現状とか、これからの展示会準備のこととかね」

「え〜飲み会でも仕事の話ですか? 主任っていっつもそうですよねぇ。せっかくですし、もっと他の話しましょう!」

「ははっ……他の話って、例えば?」

「それはもちろん、主任の恋愛事情とかですよ!」

ズバッと切り込むように高梨さんはそう言い放った。

久我くんも興味津々という様子で目を爛々とはせている。
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