初恋の続きはトキメキとともに。
私はというと、突然耳に飛び込んできた“恋愛事情”というワードにドキリとした。
初恋の人の恋愛事情……知りたいような、知りたくないような複雑な気持ちだ。
一方、名指しでリクエストされた広瀬主任は困ったように眉尻を下げ、端正な顔に曖昧な笑みを浮かべている。
「……いや、俺の話なんて面白くもなんともないけど?」
「主任って超モテるのに一向に彼女作らないじゃないですか。だから他部署の人に、わたし、しょっちゅう「なんで?」って聞かれるんですよぉ!」
「それ分かる! オレもオレも! ってか、広瀬主任って恋愛に一線引いてるっすよね」
「そうそう! 好意を向けられても曖昧に上手く受け流すし、そのくせ優しくって人たらしだし!」
「あんまりプライベートについても語らないから、マジで謎なんっすよ!」
久我くん&高梨さんコンビは堰を切ったように広瀬主任へ疑問をぶつけていく。
2人の掛け合いにより、どんどんヒートアップしていく有様だ。
その勢いに口を挟むなんて到底できず……いや、最初からするつもりもなく、私は空気に徹して静観した。
ただ、この一連のやりとりの中で私はある事実を一つ知ってしまった。
……広瀬先輩って、彼女いないんだ。意外だなぁ。
ということは、高校の時に付き合っていたお似合いの彼女とは別れたのだろうか。
少なくとも私が高校3年、広瀬主任が大学2年の時まではまだ二人は恋人同士だった。
広瀬主任がバスケ部のOBとして高校に来ていた時に、体育館のそばで二人が一緒にいるのを私は目撃している。
それにその後も、広瀬主任の大学卒業くらいまではまだ付き合っていたはずだ。
そういう風の噂が聞こえてきた。
……社会人になってから別れたってことかな?
いずれにしても交際期間は6年前後。
もし久我くんと高梨さんの言葉通りで、現在の広瀬主任が恋愛から一線を引いているのなら、きっとその理由は元カノさんに違いない。
長く付き合った恋人を忘れられないのだろう。
……この事情を知ってるのは、この場で私だけなんだろうなぁ。
一方的ではあるけれど、学生時代の広瀬主任を知っているからこそ推測できることだ。
私は校内一の美男美女カップルとしてお似合いだった当時の二人を頭に思い浮かべる。
あんなに素敵な彼女がいたのだから、その想いを広瀬主任が引きずっているのも当然に思えた。
忘れられない人を心に抱えた苦しみは私もよく分かる。
その後も、久我くんと高梨さんによる追求を広瀬主任は当たり障りなくやんわりはぐらかし続けた。
そして私は、首をすくめて困ったように微笑む広瀬主任の複雑な心中を察し、口をつぐんで静かに見守ったのだった。
初恋の人の恋愛事情……知りたいような、知りたくないような複雑な気持ちだ。
一方、名指しでリクエストされた広瀬主任は困ったように眉尻を下げ、端正な顔に曖昧な笑みを浮かべている。
「……いや、俺の話なんて面白くもなんともないけど?」
「主任って超モテるのに一向に彼女作らないじゃないですか。だから他部署の人に、わたし、しょっちゅう「なんで?」って聞かれるんですよぉ!」
「それ分かる! オレもオレも! ってか、広瀬主任って恋愛に一線引いてるっすよね」
「そうそう! 好意を向けられても曖昧に上手く受け流すし、そのくせ優しくって人たらしだし!」
「あんまりプライベートについても語らないから、マジで謎なんっすよ!」
久我くん&高梨さんコンビは堰を切ったように広瀬主任へ疑問をぶつけていく。
2人の掛け合いにより、どんどんヒートアップしていく有様だ。
その勢いに口を挟むなんて到底できず……いや、最初からするつもりもなく、私は空気に徹して静観した。
ただ、この一連のやりとりの中で私はある事実を一つ知ってしまった。
……広瀬先輩って、彼女いないんだ。意外だなぁ。
ということは、高校の時に付き合っていたお似合いの彼女とは別れたのだろうか。
少なくとも私が高校3年、広瀬主任が大学2年の時まではまだ二人は恋人同士だった。
広瀬主任がバスケ部のOBとして高校に来ていた時に、体育館のそばで二人が一緒にいるのを私は目撃している。
それにその後も、広瀬主任の大学卒業くらいまではまだ付き合っていたはずだ。
そういう風の噂が聞こえてきた。
……社会人になってから別れたってことかな?
いずれにしても交際期間は6年前後。
もし久我くんと高梨さんの言葉通りで、現在の広瀬主任が恋愛から一線を引いているのなら、きっとその理由は元カノさんに違いない。
長く付き合った恋人を忘れられないのだろう。
……この事情を知ってるのは、この場で私だけなんだろうなぁ。
一方的ではあるけれど、学生時代の広瀬主任を知っているからこそ推測できることだ。
私は校内一の美男美女カップルとしてお似合いだった当時の二人を頭に思い浮かべる。
あんなに素敵な彼女がいたのだから、その想いを広瀬主任が引きずっているのも当然に思えた。
忘れられない人を心に抱えた苦しみは私もよく分かる。
その後も、久我くんと高梨さんによる追求を広瀬主任は当たり障りなくやんわりはぐらかし続けた。
そして私は、首をすくめて困ったように微笑む広瀬主任の複雑な心中を察し、口をつぐんで静かに見守ったのだった。