初恋の続きはトキメキとともに。
「なるほどなるほど。確かに漫画から飛び出してきたヒーローみたいな人だね。長身イケメンだし、性格も誠実で優しそうだし! ころっと堕ちる女の子は多そうだわ。遥香が雲の上の存在って言うのもちょっと分かったかも」

「でしょう? 昔から本当に素敵な人なの。私服も初めて見たけどカッコよかったなぁ」

「ねぇ遥香? その感じ、もう完全に恋心が再燃してない?」

「してないよ……! そういう恋愛的な想いじゃなくって、今は本当にただの憧れ! あと尊敬!」

ややむきになって言葉を重ねると、茉侑は「ふぅん」と意味深に笑ったものの、それ以上は何も言ってこなかった。

私達は改めて駅に向かって歩き出す。

駅に到着した後は、ディナーに行くのはやめて、明日からの仕事に備え早々と解散することになった。

明日からまた忙しいウィークデーがやってくる。

翌日に向けて少しでも体を休めるべく、私は身支度をさっさと済ませると、その日は早めにベッドに入った。


そして週始めの月曜日。

その日は午後一からトラブルに見舞われた。

「あれ? 遥香さん、なんかシステムが変じゃないですか?」

「あ、本当だ! さっき入力したデータが消えてる……!」

これがなければ仕事にならない、と言われるくらい本社営業部では日常的に使うシステムの挙動がおかしくなったのだ。

「ええっ、ホントですか!? ……あっ、わたしもです! うそ〜、午前中のデータが全部ダメになっちゃってる!」

ガックリ肩を落とす高梨さんの心情は痛いくらい分かった。

午前中の仕事がパァになり、私も徒労感が半端ない。

「……とりあえず情シスに報告するね! 高梨さんは一課の他のメンバーにシステムの不具合を共有して、しばらく入力をストップするよう伝えてくれる?」

「了解です!」

シュタッと手を額に当ててラジャーのポーズを見せた高梨さんが動き出すのを見届け、私は内線で情シスへと電話を入れる。

2コールの後、受話器がガチャっと持ち上がる音がした。

「……はい、情シスです」

「ホームケア事業部・営業一課の南雲です。……もしかして結城くん?」

「そうだけど。……その声、なんかあった?」
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