初恋の続きはトキメキとともに。
「この資料、思った以上の完成度だった。正直驚いた。たたき台まで作ってくれれば充分だったのに、これ、もうそのまま使えるレベルだよ」

「本当ですか? それなら良かったです!」

「いや、本当に助かった。おかげで微調整だけで終わりそうだし。これ、南雲さんが1人で作成したの?」

「あ、はい。過去に広瀬主任が作成された資料を参考にさせてもらいながら、分からないところは久我くんや高梨さんにも聞いたりして。……あと、ちょっと怖かったですけど、勇気を出して井澤課長にもご意見をお伺いしました……!」

「はははっ、確かに課長は怖いよね? あの強面の顔と厳しい言葉遣いだから、慣れないうちはみんなビクビクしてるよ」

「私だけじゃなかったんですね……」

「全然! 今は普通に接してるけど、久我も、高梨さんも、最初はおっかなびっくりって感じで恐る恐る課長と話してたよ。もちろん俺も」

「えっ? 広瀬主任も、ですか? ちょっと意外です」

頑張って作成した資料を褒めてもらえて、私は嬉しくなり、無意識のうちにいつもより饒舌になる。

自分でも気づかないほど、ごく自然に普通の会話を広瀬主任と楽しく繰り広げていた。


「――よし、じゃあ、俺はこの作ってくれた資料を最終調整して完成させるよ。南雲さんはもう帰ってくれて大丈夫だから」

「あ、はい。分かりました。……ちなみに今後の参考までに、どの辺りを修正されるのか少しだけ教えてもらってもいいですか?」

「ああ、うん。構わないよ。このページのこの部分と、あとここだけかな」

広瀬主任は手元の資料を広げて該当部分を指さして教えてくれる。

よく確認しておこうと資料を覗き込んだその時、トンと広瀬主任と肩が触れた。

意図しない接触にドキッと鼓動が跳ねて、一気に全身の血が顔に集まる。

「……顔赤いよ?」

「――ッ!」

くすっと喉で笑い、私の動揺を楽しむように広瀬主任がじっと見つめてくる。

からかわれているだけなのは分かっていたから、軽く流してしまいたいのに、言葉が出てこない。
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