初恋の続きはトキメキとともに。
工場では、急な追加発注に伴い、新商品サンプルの在庫が足りていなかったため、私も飛び入り参加して制作にも尽力した。

制作といっても商材を作るのではない。

お試し用のパウチと商品説明が書かれたリーフレットをセッティングしていく作業である。

必要数のサンプルを作り終えると、それを段ボールに詰め、急いでタクシーに飛び乗った。

こうして本社と工場の2ヶ所を巡り、ようやくこの会場へと戻ってきたわけである。

もともと控え室にあった新商品サンプルを確認すれば、かなり数は減っていたものの、まだかろうじて残っていた。

つまり、完全に在庫が切れてしまうまでに補充ができたのだ。

 ……ふぅ、良かった。間に合った!

これでひと安心。

もう途中で足りなくなる恐れはないだろう。

ミッションクリアである。

私は控え室で少しだけ休憩を取り、お手洗いで崩れかけたメイクを直すと、再び気合いを入れて展示会会場の方へ移動した。

会場内に足を踏み入れば、ザワザワとした騒めきが耳に飛び込んでくる。

取引先バイヤーの方や自社の社員の話し声でその場はとても賑わっていた。

私はもともと配置されていた担当ポジションへと向かう。

そこでは広瀬主任がバイヤーさんとテーブルで和やかに商談を進めていて、その周辺には久我くんや高梨さんも来場者対応を行っていた。

広瀬主任は私の姿に気がつくと、商談中なのにあからさまに口元を綻ばせ、視線で「おかえり」と伝えたきた。

高梨さんに至っては、来客対応を終えるやいなや、私の方へ小走りで駆け寄ってきて、大きな瞳をウルウルさせる。

そして何度も「ありがとうございました!」と御礼を言われた。

高梨さんには異動当初から私もお世話になっているしお互い様だ。

少しでも恩を返せたのなら本望である。

なにより私達のチームがメイン担当を務める展示会に支障が出るのを防げて良かったと思う。

 ……まだまだ営業アシスタントとしての経験は浅いけど、少しは役に立てたかな? よし、午後も頑張ろ!

その後、展示会終了時刻の午後5時まで、私は来客対応や営業担当のサポートに奔走した。
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