初恋の続きはトキメキとともに。
広瀬主任と個人携帯で連絡先の交換をしたのがつい一昨日――付き合うことになった日だ。

プライベートで連絡を取り合うという夢のような状況にまだまったく慣れない。

メッセージが届くたびに落ち着かない気持ちになる。

スマホ自体に変化はないのに、広瀬主任と個人的に繋がることができるようになったことで、心情的にはただのスマホが急に神具に早変わり。

神々が与えたもうた奇跡の道具として光り輝いて見えてくるから不思議だ。

 ……うぅ、緊張する……! 服装は変じゃないよね? 大丈夫だよね?

私はスマホを握りしめ、カフェからロータリーへ速足で移動しながら、自身の格好を見下ろす。

今日の私は、ふんわりニットのトップスをワイドパンツにインしたカジュアルな服装だ。

ドライブデートだから、車を乗り降りしやすいようにパンツスタイルを選んだ。

家を出る際に鏡の前で何度もチェックしたから変ではないはず。

だけど、「やっぱりもっと女の子らしくスカートにするべきだったかな」と心配になってくる。

今更考えても仕方ないことに気を揉んでいるうちに、私はいつの間にかロータリーへ到着していた。

キョロキョロと辺りを見回し、人を待つ停車中の車が複数ある中、私は迷うことなくすぐに広瀬主任を発見した。

こういう時に改めて思うのだが、私には広瀬主任を見つけるセンサーでも付いているのだろうか。

 ……ううん、たぶん高校時代の片想い期間中に自然と身についた能力だよね。

いつも目で追っていたからな、と苦い笑みが口元に浮かぶ。

そんな一方的に想いを寄せていた相手が今、私を車で迎えに来てくれている。

しかもこれからデートに出掛けるのだ。

やっぱり現実とは思えない奇跡的な状況だった。

私は車へ駆け寄ると、ドキドキしながらドアを開け、ぎこちない動きで助手席に滑り込んだ。

運転席では、シャツとパンツの組み合わせにカーディガンを羽織った、休日仕様なコーデをした広瀬主任が私を出迎えてくれた。

私の姿が見ると、目を細めて穏やかな笑みを浮かべる。

車内には、仕事モードの時とは違うリラックスした空気が満ちていた。
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