初恋の続きはトキメキとともに。
「もう、広瀬主任! からかわないでください……!」

「本当にごめん。でも、あんまりにも遥香が心ここに在らずな様子で俺の方を全然見てくれないから。つい気を引きたくなって。あ、もちろん冗談とは言ったけど、してくれるのは大歓迎だけどね?」

「!」

「それに呼び方。また主任呼びになってる」

「そ、それは……なかなか慣れなくて」

「さっきまでは俺も遥香が慣れるまでゆっくり待とうかなと思ってたけど、やっぱり辞めにするよ。これは俺の勘だけど、なんとなく遥香を待ってたら一生かかりそう。何年経っても『慣れない』って言われそうな気がするし。……だからシフトチェンジさせてもらうね?」

「シ、シフトチェンジ、ですか?」

たぶん広瀬主任の勘は正しい。

私は何事も怖がりで慎重だ。

特に広瀬主任のことになると慎重さが増す傾向にあるから、指摘通り、なかなか慣れないと思われる。

 ……でもシフトチェンジって? 方向性を変えるって意味だよね? どういうこと?

頭に次々と疑問符が浮かび、私は首を傾げた。

「『慣れるのを待つ』じゃなく、『慣らす』に方向を変えることにするよ。仕事でも実際に業務に取り組むうちに覚えられるものだしね……ということで、遥香。今から俺を“広瀬主任”って呼んだら罰ゲームだから」

「ば、罰ゲーム、ですか? 例えばどんな……?」

「そうだなぁ。“遥香が恥ずかしがること”かな。さっきの遥香が俺に料理を食べさせるとかがいいかもね。あぁ、逆に俺が遥香に食べさせてあげるのもありかな?」

「………!!」

次々に上げられる罰ゲーム案に私は絶句した。

想像するだけで恐ろしい。

その状況になったら、きっと私の心臓はもたない。
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